あとがき

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今、「あとがき」を書くにあたって、久々に「まえがき」を読んでみた。そうしたら、それが1995年9月19日に書かれていたことを見て、驚いた。何故ならそれは次女の誕生日の5日前だったのだから。
こうしてこれを書いている今は2000年2月9日。厳密に言えば義父の3回忌に当たる日だ。と、いうことは約5年半の月日を経て書かれたように見えるが、実際には旅の直後や長女を妊娠している時にも書きかけたこともあるのである意味では7〜8年越しに完成したともいえる。
この旅が終わってから、こつこつ書き足していかなければならないであろうから、それに相応しくノートパソコンで書き出したこのヴァージョンを書く間には、まえがきでも触れているように、様々なことがあった。
まず、マリウスを日本に招待する手続きを勧めるため、外務省や在ルーマニア日本大使館とやり取りを初め、旅の途中ではまだはっきりしなかったキルステンの来日が10月に実現した。マリウスが11月から12月に掛けて来日し、何と、その間に、入籍をすることになった。そして、翌4月の末に、ルーマニアで結婚式を挙げ、5月に帰る時に一緒に帰れるように、ビザの手続きをし初めていたら、1月には妊娠が明かになった。そして、3月にパトリックとギュンターが来日し、トルベンとリーネから、赤ちゃんが生まれたという連絡をもらい、4月にルーマニアに行き、5月に一緒に帰り、ラ・ネージュが竣工し、6月に日本で結婚披露パーティーをし、7月に一度も面識がなかったかと思ったら実はこの旅でちょろっとだけ会っていたメキシコのグァダルッペの弟ゴンザロがホームステイし、8月に長女を出産し、それと前後してギリシャのリザがクレタ島の別荘にいる時に泳いだ後、心臓麻痺でなくなったとの訃報を受け、10月に会社を設立し・・・。と、実に目まぐるしく自分にとってエポックメーキングな出来事が起こっていった。
そして、このヴァージョンの「まえがき」を書いた日から5日後に、次女が生まれ、退院の前日に夫が日本に帰る前に立ち寄っていたトルコから帰って来た。そして、その一週間後にまえがきで触れている資格試験があり、無事合格した。今から思うと臨月のお腹であの試験を受験するのは無謀というものだったので、ちょうどいい頃合に、しかも十分な大きさで生まれて来てくれた我が子はやはりトマトより賢かったと思わざるを得ない。(「まえがき」を参照してください。)
さて、子供が二人になった翌年にはカナダのボブとステファニーがラ・ネージュに泊っていって、この旅では聞けなかった色々な事を聞けたり話せたりし、その直後、まさか?の3人目を妊娠していることがわかり、せっかく取った資格を活かすどころか、会社は殆ど幽霊状態になり、夫は日本と彼の地を長い間隔で行ったり来たり、という生活が続き、3人目を出産して暫くしてそれまではずっと居た住み込みのお手伝いさんが居なくなり、大人が減って子供が増え、上の子は幼稚園に行くようになり、私は厄を迎え、大殺界にも入った。「大殺界の時期には自分に合わないことをやることによってマイナス×マイナス=プラスに転じる。」という言葉を信じて、一昨年には下に2歳と1歳の子を抱えながらも幼稚園のクラス役員をしたり、PTAの手芸部に入ったりもした。
そして、去年の夏、ついに、この旅では一度も会ったことのない、メキシコのグァダルッペの妹のマリアエレナまでうちに訪ねてくることになり(結局、素晴らしい出会いだった!!)、その辺りから、かねて(これはこの旅をするずっと前から)から目指していた35歳に"一角の人"になる為には今からこつこつ完成させないと!と、子供を寝かしつけてから書こうと思っていたら一緒に寝てしまった・・などなどの試練を乗り越え、厄が明けての節分を迎えたころにはどうしても!と、思い、特に終わりの頃、コペンハーゲンのことを書いている時に、デパートで偶然あの時買えなかった当時日本未発売の魔法瓶を見つけたり、ドイツの事を書く直前に、この頃便りがないなあ、と、心配していたキルステンから新しいパートナーとの二人目の子供の出産報告カードを受け取るなどの偶然がありながら、仕上げたのがこれである。奇しくも大好きな義父の命日に書き終えることになってしまった。これが最善の供養になれば、と、思っている。

さて、これから私はこれが多くの人の目に触れるようになるかどうかの一世一代の大博打に打って出る。それが、吉と出ますか、凶と出ますか・・・・。

2000年2月9日久々に京都に雪が降った日に 四方有紀

追記:
ところで、これは、当たり前かもしれないが、あくまでも私の視点からしか書かれていない。
私は、この旅を計画した時からこれを書くことは念頭に置きながらも、途中でメモを取ったりすることはなかった。が、まっちゃんは、中でも少し触れたように、この旅のために、わざわざ赤い表紙のファイロファックスのシステム手帳を買い、行く先々で、日記や、料理のイラストやレシピ等色々なことをメモっていた。
願わくば、まっちゃん版の"Do you remember me? Tour"も完成させてもらいたい。同じ旅を違った視点から見ることによって、また違ったものが見えてくるはずだから・・・。
それでこそ、真の"Do you remember me? Tour"の完了となるのだと思う。