La Neige Concert Series for mutual communication #0

イベントBBS

こんにちは。皆様お健やかにお過ごしのことと思います。

この度、5年ぶりにLa Neigeからコンサートのお知らせを させていただけることを、とても喜ばしく思っています。

今回改めてコンサートシリーズを再開するにあたり、 「ラ・ネージュでしかできない。」 「ラ・ネージュでこそする意味がある」 50人というキャパシティーを最大に生かした、対話のある『双方向コミュニケーション』のある コンサートを開催することになりました。

コンサート後の対話が単なる質疑応答に 留まらず、どこまで互いに有意義な「コミュニケーション」の場 にすることができるのか、観客の皆さんの積極的なご参加が望まれます。

今回は非常に実験的な意味を帯びているため、 “#0”とさせてもらいました。

この先、このシリーズでは、春には邦楽を筝の麻植さんをフィーチャーして。 冬には洋楽をマリンバの通崎さんをフィーチャーしてという形で、 できれば、その場の為に作られた曲を鑑賞する楽しみなども 加えながら、#1、#2、・・・と、どんどん「濃密な」場としてゆきたい、 と、思っています。

この#0は、その深まっていく過程を最初から見届ける またとないチャンスです。 皆様、是非、お越しください!

2000年 11月 吉日 ラ・ネージュ 亭主 四方有紀

日時:2000年12月9日(土) 午後7時〜  12月10日(日) 午後2時〜

    両日とも開場は30分前。それぞれ 6時半、1時半です。

場所:ラ・ネージュ (詳しいアクセス方法は右のボタンを押してください。)

   京都市伏見区桃山町立売58 Tel:075-622-5770  

定員:両日とも50名 (先着順で、定員に達し次第締め切ります。)

料金:3500円 (当日精算でお願いします。)

予約方法:電話(075-622-5770) FAX/留守電(075-622-9514)

     もしくはこのサイトからメールで。 お申し込みメールはこちらから

    お名前、ご住所、お電話番号(携帯電話も可)、e-mailアドレス、希望の日時を入力ください

      

    また、お申し込み後の直前のキャンセルはお断りいたしますのでよろしくお願いします。

 

 

 通崎+上野   通崎+小川

この日、お越しいただいた方。遅ればせながら、たいへんありがとうございました。この場を借りて改めまして、御礼申し上げます。演奏者の方、スタッフになっていただいた方も、ありがとうございました。 たいへん遅くなりましたが、このコンサートのレポートをさせていただきます。

当日は、9、10両日とも、お陰様で満席となりました。特に10日は生憎の雨となりましたので、ほんとに有り難いことだと思います。

ただ、5年前にも同じマリンバのセッティング、同じ人数、同じ時期だったので、経験があったはずなのに、今回、50人だとぎゅうぎゅう詰めだな、と、思い、大いに反省しました。特に、演奏後の対話の際に、その辺りのマイナス面が顕著に現れてしまい、話す側(演奏者)と聴く側(観客の皆さん)の構図が最後まで崩れなかったのが申し訳なかったと思います。ですが、一巡するまでは、「お試し期間」と位置付けて、できるだけ多くの方に、この白い空間を体感してもらおうという意図がありますので、定員を最大のキャパ、50名で据え置きたいと思いますので、ご理解いただければ幸いです。楽器のサイズなどもありますので、同じ50名でも、4月に予定している箏の場合は、もう少しゆったりするかと思います。 今後もよりよい場にしていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

そうそう。この日のプログラムのうち、港大尋さんの『届くことのない12通の手紙』のなかのデュオ版は、ラ・ネージュの委嘱によるものでした。要するに、ラ・ネージュが依頼して書いてもらったもので、本邦初演というものです。これからは、ラ・ネージュということで、HP初めの「四方有紀の茶室ラ・ネージュへようこそ」に挙げてある、“雪”のイメージをテーマに色々な作曲家の方に、作曲を依頼して、このコンサートシリーズで初演を披露する、というプロジェクトも進めていきたいと思っています。何年か経ったら、それらを集めたオリジナルCD(そのころ主流の音楽メディアはなんでしょう?)ができるといいな、と、思っています。

私の方は反省点&それを踏まえた今後の展望になってしまいました。

肝心の、コンサート内容のレポートの方は、当日、スタッフになっていただいた、大阪大学大学院で音楽学を専攻されている田中早苗さんの寄せていただいた文を掲載します。

2001年1月20日  亭主敬白

    

                 通崎+小川+港              アンコール:通崎+小川+上野                後半の対話の様子         

コンサートレポート  text by 田中早苗

個性的なデザインが魅力的なサロン「ラ・ネージュ」で開かれた『通崎睦美マ リンバコンサート バッハとミナト〜2つのデュオ』(2000年12月9日、10日) 。

この試みは“La Neige Concert Series for Mutual Communication”の第「ゼ ロ」回にあたる。まさにこれからラ・ネージュによるコンサートシリーズが始ま る、その記念すべき最初のコンサートであった。

当日のプログラムは以下の通り    

何といっても「ラ・ネージュ コンサートシリーズ」は、タイトルに冠された “for Mutual Communication”を念頭におくべきだろう。

“Mutual”は「相互に 」とでも訳されるべき単語でるから、“Mutual Cmmunication”は、「お互いに 交流し合う」くらいの意味になる。すなわち、演奏者が一方的に音楽を演奏し、 集まった観客に聴いてもらうためのコンサートではなく、音楽を媒体にして演奏 者と観客が、あるいは観客と観客が出会い、語り合い、和やかに共に時をすごす 、そういうささやかな楽しみを生み出すためのコンサートであるのだ。(だから コンサート後にはお茶もお菓子もお酒も出る。)

そして、こうした「場」を演出 する役目を果たすのが「ラ・ネージュ」という独特の空間であり、そのままオー ナーの四方氏の願いにもなっている。  コンサートホールに行って、演奏者のつむぎ出す一音一音に注意をかたむけ、 集中的に音楽の構造を聴き取るのも、確かに素晴らしい体験ではある。しかしそ れだけが音楽鑑賞の方法でもないだろう。ラ・ネージュのような空間で社交のひ とつとして、場を楽しむのもまた1つの音楽の在り方である筈だ。  

通崎は、従来よりそうした活動を意欲的に行ってきたということもあってか、 さすがに手慣れたもの、トークなどである程度観客を巻き込んだ形でステージを うまく手作りしていたと思う。

プログラムそのものは、バッハの「平均律」であ り、それに影響を受けて作曲された(らしい)港の「届くことのない12通の手 紙」であり、どちらも音楽的に高度な内容を持ち、技術的にも困難が伴う選曲で ある。

しかし、それらを肩肘はらずにサラリと演奏してしまう。けっして崇高で 近寄り難い音楽にはならない。「手紙」の方は、はじめ通崎のソロから始まり、 次に小川とのデュオ、最後に作曲者の港自身が加わるアンサンブルへと発展し、 1人から2人、2人から3人へと、輪が広がっていく様で観ていて好感を抱いた 。

また、12月9日は港の誕生日でもあって、観客から「ハッピーバースディー」 の合唱がわき起こったことへのお礼として、港が即興で歌を歌う、という場面も あり、なかなか盛況だった。  

実は、ラ・ネージュの企画するコンサートは、5年前にも一度通崎を招いて開 かれていたらしい。ラ・ネージュの四方氏が、通崎の演奏活動とラ・ネージュの 企画の方向性に共感するものを見たからだという。

諸々の都合が重なって、その コンサートは1回きりで継続されることなく終わってしまったわけだが、今ここ にシリーズ化されることになった“La Neige Concert Series for Mutual Communication”。その最初のコンサートに再び通崎を迎えた、というのは非常に恵ま れた選択だっただろう。  ともあれシリーズはまだはじまったばかり。今後のラ・ネージュの活動に期待 したい。