ラ・ネージュ再始動より1年目を迎えるにあたってのご挨拶

 

前略 急に肌寒さを感じる今日この頃 ――秋生まれで秋をこよなく愛する私としましては、年々残暑が続いたかと思うと一足飛びに冬がやって来るようになったような気がして“秋”がどんどん短くなっていっているようで悲しいです。今日などは美しい秋の一日・・という感じで嬉しいですが。―― みなさま方にはお健やかにお過ごしのことと存じます。 

私事ですが、夏(その前)から色々とあり、この14日のラ・ネージュでは初めての試みの落語の会をとてもいい雰囲気で終えることができ、とにもかくにもほっとしてしまい、次のこれも初めての試みである、絵の展覧会のご案内を差し上げるのが大変遅くなり申し訳ありません。 ただ、今回、その展覧会の案内だけでなく、11月の17日・18日に予定しているコンサートのご案内も・・あ、それならもう決まっている12月のも、2月のも・・と、思う中、「あ、そうだ、去年の12月のコンサートから、この次のコンサートで人的(=演奏者。通崎さん)には丁度一巡し、12月のコンサートでイベント的にも一巡するんだ・・。」ということに気付き、それならただ案内を送りつけるだけではなく、一言ご挨拶を・・と、思い、筆(?)を取りました。

 

まず、この1年、ラ・ネージュを支えていただきまして、本当に有難うございました。特にこの1年は全てが初めての試みで、海のものとも山のものとも判らないものに、お運びいただいたり、そんな亭主に付き合って、演じていただいたりして、ほんとうにほんとうに有難うございました。心より御礼申し上げます。

 

さて、ラ・ネージュを再始動するにあたり、色々な方に出演などを依頼する際、また、取材を受ける折にラ・ネージュのことを説明した際、まだ色々な事をやる前だったので、今ひとつ何がやりたいのかよく判らない・・と、よく言われました。色々なことを形にしていくうち判る方にはどんどん判っていただけたかと思うのですが、判らない方には益々判りにくくなっているかと思いますので蛇足かもしれませんが、一体ラ・ネージュとはどういう目的で作られ、活動しているのかをもう一度説明したいと思います。

 

 ラ・ネージュ着工当時より、私はここを、ヒト・モノ・コトの交流の場、訪れる誰もが和める場、様々な分野のプロフェッショナルな人達の技を身近に感じる事によって、それらをappreciate*するきっかけとなる場にしたい。そしてそれがお互いのappreciation**に繋がれば・・・という希望を持っていました。

 そこそこ豊かな環境で、両親が結婚して15年目に生まれた一人娘(必然的に両親とは年が離れ、両親には余裕がある)で、例えば小学生の頃から祇園の割烹に連れて行ってもらうこともあるような環境に育ち、ポータブルな存在として色々な所に出入りするうちに、私は色々なところに出入りするのに、意外と行く先々に集まっている人というのはそうではないみたい ――例えば、クラシック音楽のコンサートにはクラシック音楽ファンが。落語の会には落語マニアが。お能の会にはお能通が。ジャズライブには、ロックコンサートには・・。サッカーのスタジアムにはサッカーファンが。ラグビーには、野球には、ハンドボールには、フィギュアスケートには・・・。といった具合で、それぞれの場所にはいつも大体同じような人達が集まり、そのどれもが「いいものはいい!」にも拘らず、最初の出会いがトラウマとなるのはまだしも、大体食わず嫌いで○○一筋となりがちで、別の場に集まる人相互の交流のようなものは起こらないようだ・・ということに気付いたのでした。

 別に○○一筋でもいいとは思うのですが、どうもそういうものって、ナショナリズムや偏った宗教観なんかと同じで、最初にその道でとっても素晴らしいものに接してもらう事ができればそれをappreciateすることができ、受け容れることができるのに、その機会がなかった為に・・・ということがその理由の大部分だと思い、私の知る範囲、できる範囲なんてまだまだ甚だ小さいし、多くの人にとっては甚だおせっかいなことだと思うのですが、この場で色々な分野に関してよい出会いの機会をどんどん創っていって、相互理解が深まれば。と、思ったのです。

 

その全てを含む場を一言で表そうとした時に、日本には素晴らしくぴったりの言葉=茶室 がありました。ですから、ほんとうは“茶室・ラ・ネージュ”とだけ言えばいいのですが、残念なことに、今では茶室=所謂茶道のお点前、お茶時をする場所・・と受け取られているようなので、“同時代の茶室・ラ・ネージュ”とさせていただきました。 ギャラリーも、(コンサート)ホールも、多目的スペースですら、ほんとうはふさわしくないのです。 むしろ、“セレクト・ショップ”の方が近いでしょうか? 

 

再始動初年度の昨12月からこの11月にかけて、本当は自分の度量を考え、季節に1回。年4回程度の開催を考えていたのですが、案内状なども殆どすべて自作していて全てが私一人の裁量で決まる身軽さからか、スタートし出したらあれよあれよという間に話がまとまり、平均して月一回のペースで、マリンバのコンサート、唯識のトーク、杜氏さんのお話とルーマニア料理、お箏と尺八のコンサート、シリーズの唯識カフェ、陶器の展覧会、落語会、と形にすることができ、さらに、これから絵の展覧会、マリンバとバイオリンのコンサート、それとは全く異なる分野のバイオリンの無伴奏コンサート、薩摩琵琶のコンサート・・とする予定になっています。 その後、再びお箏のコンサート・・という具合に、最初にいい出会いを持ってもらえたものに再び会える(でも、ライブは生ものなので毎回違うはずだし、年と共に進化していくはず・・)機会を創っていく一方、以前から何とか形に・・と思いながらも実現できずにいるお能がらみのことや、新しく出会ってコレ!と思ったものをどんどん紹介していきたいと思います。いずれ、芸術的なフォームのアスリートも登場するかもしれませんね・・・。

さらに、こういうことをチビ3人に囲まれつつやっていく中、最も身近な小宇宙である自分の体が健康でこそ・・と、感じる事もしばしばとなり、インドのアーユル・ヴェーダの全身マッサージで長年の悩みの鼻が治ったり、カイロプラクティックで肩が凝ったら肩を揉んでもダメということを教わったりして、やっぱり部分だけでなく、全体を見なきゃだめなんだ。そして、それって、結局ラ・ネージュのポリシーと合ってるやん?と思ったので、ホリスティックに身体のことを考える時間 ――身体の健康なくして心の健康もありえませんので―― も持ちたいと思っています。

そして、それらの全ての根幹となるのは私の出会った中では“唯識”の考えだと思っていますので、それも大切にしていきたいと思っています。 この唯識カフェは、なかなか理想的な展開となっておりまして、その中にいらしていたお客様が、遠足を企画してくださることになったりしています。 ラ・ネージュの全てのイベントにおいて、そんな風に、自発的に排他的ではない輪ができて、新しい関係が生まれていけば本望です。

 

その為には、継続しないといけませんね。それを可能にするにはお運びいただかないと・・(私が別の事でリッチになれば別ですが・・。)ですので、是非是非騙されたと思って、一度足を運んでみてください。きっと新しい出会いがあるはずです。普通の「ホール」では味わえない何かがあるはずです。そして、共感してくださったら、お友達を誘って再びお出でください。

 

また、いつも郵送で差し上げるものより詳しい情報がホームページに載っております。私のさらに本音のエッセイなどなどや、まつわる方々のホームページへのリンクもありますので、機会があれば是非、http://www.yuki-laneige.com にアクセスください。

 

それから、何分主婦業の傍らに活動しておりますので、075-622-5770にお電話いただいても不在の事も多いかと思います。お急ぎの場合は090-2116-3588へ。また、webmaster@yuki-laneige.comまでメールをいただくのもありがたいです。

 

では、取り急ぎ、1年目を迎えるにあたってのご挨拶まで。

 これからも、よろしくお願いいたします。

かしこ

 

20011027

 

ラ・ネージュ亭主 四方有紀

 

*appreciate : vt.・・の真価(よさ)を認める、正しく認識する;識別する;<重大さなどを>察知する、感得する;<文学・音楽などを>鑑賞する、おもしろく味わう;<人の好意などを>ありがたく思う、感謝する; (後略)

**appreciation: n.真価を認めること、正しい認識、感得;感知;鑑賞、玩味、理解;感謝、尊重;(後略)

                      研究社、現代英和辞典による。

 

追伸:この夏以来、事情により、マリウスはルーマニアに帰りました。それにより、一部の方に

ご期待いただいておりました、ルーマニア・ワイン・バー、“ルーマニアン・ラプソディー”は開

催できなくなりました。申し訳ありませんが、ご了承のほど、お願いいたします。

いつか彼が自分の足で立ち、ルーマニア料理のシェフとしてこちらに戻ってくることがあればその

時には開催したいと思いますのでまたお知らせいたします。